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9.292026
わかなのブログ vol.24気候変動の時代に、私たちはエネルギーをどう考えるべきなのだろう
近年、世界では「気候変動」が現実のものとして私たちの暮らしに影響を与えています。
日本でも毎年のように「観測史上最高気温」が更新され、猛暑日が続く夏が当たり前になりました。
豪雨や大型台風も激甚化し、「数十年に一度」と言われていた災害が毎年のように起きています。
こうしたニュースを見るたびに、私は福島で原発事故を経験した一人として考えてしまいます。
これからの時代、私たちは本当に今までと同じ前提でエネルギーを考えていていいのだろうか、と。
気候変動は原子力発電にも影響する
原子力発電所は、発電を続けるためにも、停止したあとも、大量の冷却水が必要です。
そのため、日本の原子力発電所のほとんどは海沿いに建設されています。
海水を利用して設備を冷却するためです。
一方、世界では近年、猛暑や渇水によって原子力発電所の運転に影響が出た事例も報告されています。
川の水温が上昇し、環境への影響を避けるために出力を下げたり、一時的に運転を停止したりしたケースがあります。
つまり、気候変動は再生可能エネルギーだけではなく、原子力発電にも影響を及ぼす時代になっているということです。
もちろん、日本の原発は主に海水を利用して冷却していますので、海外の河川利用型と条件は異なります。
それでも、海水温の上昇や異常気象、高潮、台風など、気候変動が設備へ与える影響については、これまで以上に考えていく必要があるのではないでしょうか。
日本は世界有数の災害大国です
私は福島で原発事故を経験しました。
15歳でした。
東日本大震災は、地震だけでは終わりませんでした。
津波が発生し、その津波によって原子力発電所の電源が失われ、冷却機能が失われたことが事故の大きな要因の一つとなりました。
あの日以来、私は「想定外」という言葉に敏感になりました。
日本は世界有数の地震大国です。
さらに近年は、気候変動による猛暑、豪雨、線状降水帯、大型台風など、新たな災害リスクにも直面しています。
災害は、一つだけ起きるとは限りません。
地震のあとに津波が来ることもあります。
豪雨によって道路が寸断されることもあります。
停電が長期化することもあります。
複数の災害が重なる「複合災害」は、これからさらに重要な課題になると考えられています。
夏の大規模災害を想像してみる
私は最近、もう一つ考えることがあります。
もし、真夏に東日本大震災のような大規模災害が起きたらどうなるのでしょうか。
猛暑の中で停電が起きれば、エアコンは使えません。
避難所では熱中症の危険が高まります。
水の確保も難しくなるかもしれません。
冷蔵設備が使えなければ食品の管理も難しくなります。
沿岸部で大きな津波被害が起きた場合には、魚介類や家畜、さまざまな有機物の腐敗による衛生上の課題が生じる可能性もあります。
感染症対策や消毒、廃棄物処理など、多くの行政機関や専門家が対応しなければならない課題が一度に押し寄せるでしょう。
近年の猛暑を考えれば、夏の災害は冬とは異なる困難を伴います。
だからこそ、防災計画も「暑さ」を前提に見直していく必要があると私は感じています。
福島の事故は、今も終わっていません
福島第一原子力発電所では、事故から15年以上が経った今も廃炉作業が続いています。
燃料デブリの取り出しは始まったばかりで、完了までにはさらに長い年月が必要とされています。
これは、事故の後始末がいかに難しいかを示しています。
私は、この現実を見ながら思います。
エネルギー政策を考える時には、「発電できるかどうか」だけではなく、「事故が起きた時に社会全体がどのような影響を受けるのか」まで含めて考える必要があるのではないでしょうか。
信頼とは何でしょうか
原子力に限らず、社会インフラは「安全性」と「信頼」の上に成り立っています。
これまでにも、原子力事業者では点検記録や品質管理、データ管理などをめぐる不備や不祥事が明らかになり、そのたびに規制の見直しや再発防止策が進められてきました。
改善が積み重ねられてきた一方で、こうした出来事は、「安全だと説明されても、本当に大丈夫なのだろうか」と不安を抱く人がいる理由にもなっています。
私は、その不安を「過剰な心配」と切り捨てることはできません。
なぜなら、私自身が原発事故を経験したからです。
事故が起きれば、影響は発電所の敷地だけでは終わりません。
地域社会、暮らし、仕事、人間関係、そして心の傷まで、長く続いていきます。
私が考え続けたいこと
私は、「原発は絶対にこうあるべきだ」と答えを押しつけたいわけではありません。
エネルギー政策には、電力の安定供給、脱炭素、経済、安全保障など、多くの課題があります。
簡単に答えが出る問題ではないことも理解しています。
だからこそ、これからの時代は、「発電方法」だけを議論するのではなく、気候変動、防災、災害対応、人権、地域社会への影響を一体として考えていく必要があるのではないでしょうか。
私は福島で原発事故を経験しました。
だからこそ、「もしまた事故が起きたら」という不安を簡単に忘れることはできません。
その不安をなくすために必要なのは、「大丈夫」という言葉だけではなく、透明性のある情報公開、厳格な安全管理、災害への備え、そして万が一のときに誰がどのような責任を担うのかを社会全体で共有することだと思います。
気候変動が進み、災害の姿が変わりつつある今だからこそ、私たちもまた、エネルギーについて考える視点を広げる必要があるのではないでしょうか。
私はこれからも、福島で原発事故を経験した一人として、「命を守るとは何か」という問いを忘れずに考え続けていきたいと思います。

