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1992国際会議「チェルノブイリ惨事後の世界2」生態系への影響

「チェルノブイリ惨事後の世界1」に引き続き、このたびは、生態系への影響に対する報告をご紹介します。
かなり長文ですので、PDFでご紹介するとして、一部は抜粋してみます。

チェルノブイリ原子力発電所爆発の生態系上の影響概論_Ⅱ

【 厳重管理地域での子どもの機能検査は、特有の甲状腺腫と、自己免疫性甲状腺炎と甲状腺機能不全を引き起こす危険要素の蓄積を示している。子どもの甲状腺の病気の 6.8パーセントは自己免疫性甲状腺炎と診断されてきた。1~3才の子どもは特に憂慮される。

 1990年に甲状腺癌の症例が31、ベラルーシ共和国の子どもに診断された(そのうち17人は、ゴメリ地方出身だった)。1991年の9ヶ月間に45人の子どもが甲状腺癌と診断された(そのうち31人はゴメリ地方出身だった)。このように、1990年から1991年(9ヶ月間)にかけて、甲状腺癌の症例が76にも達した。この事実は、ベラルーシ共和国の異なった地方での甲状腺癌の増加に放射性物質の要因とその他の要因が果たす役割を調査するため、放射性疫学の至急で特別な研究が必要なことを指摘している。

 超音波の、形態測定の、ホルモンの、生物化学の、免疫学の複合的な検査研究の結果、固有の状況が甲状腺のコンディションにある一定の影響を与えることが証明された。このことは、病状の度合いに応じて安定したヨード剤を服用することで、特定の地域の住民グループに見出される病気を治療する方法を開発した。

 子どもの自己免疫性甲状腺炎が多くの免疫的、生物化学的変化を伴うことがわかってきた。このことは、複合的な治療が必要なことを示している。内分泌腺システムの機能障害は、調整反応において、最初は免疫システムに一時変異を引き起こす。

 汚染地域での人間と動物の免疫システムの研究は、長時間にわたる放射能被曝は細胞と体液の免疫の機能障害を引き起こすことを明らかにした。もし好ましくない要因が人間の内臓器官に影響を与えながら留まっているとしたら、障害は慢性的免疫体不足へと進み、それらは器官と繊維に自己免疫炎症性の損傷を引き起こす。現在までのところ、放射能汚染地域での抗伝染病と生態免疫の弱化と、自己免疫の過程の発展が認められる。市町村での研究では、自然死と腫瘍壊死の要因を明確にすることを中心に行われた。

 厳重管理地区での子どもと大人の免疫と内分泌システムの変化とは別に、統計的に重要なことに、染色体異常頻発の増加が認められている。例えば、細胞異常と染色体異常の増加は、モギレフ地方の患者(市民)の末梢血液のリンパ球培養で記録された。増加率は、対照集団(比較対照のための健常な集団)と比較して、2倍かそれ以上である。この増加は、異常染色体によると同様、孤立した断片、中心がふたつになったもの、中心をなくしたものの存在によるものである。この観察結果は、ある程度放射能汚染を証明するものである。つまり、染色体異常がひき起こされ、高い確率で遺伝性リスクをもつグループがつくられている。

 汚染地域住民の社会学的調査の結果で、90%を超える人々は、複雑で困難なことではあるが、移住が自己防衛の第一の方法であると考えていることがわかった。このことには、共同体の問題や職業その他の問題がからむ。移住の主要な動機は、悪化する健康状態の自己診断(質問された人々の70%以上)と、子どもの健康、生活が好転するかへの懐疑である。
1986年に移住した人たちの30%が放射能のない安全な土地での生活を望み、再移住したがっていることを強調することは重要である。そのうちの一部の人たちは、他の共和国への移住に同意している。約30%の人々は、以前の居住地と比べて生活条件と福祉の悪化を国家に訴えた。 5,000以上の所帯がゴメリ、モギリョフ地方から他の共和国へ自身の意志で去った。】

*この土地の㎡の区分けについては、次のブログで、説明してみたいと思います。いつも出てきますので。
この報告に出てくる地名のところは、だいだい 186~1,480 KBq/㎡のエリアと考えていいかと思います。
体調異変は高汚染地帯ではじまり、低汚染地帯にも広がっていく…。(あとでホットスポットもみつかっていくわけです)

この当時は、旧ソ連が崩壊したばかりですが、まだ、科学アカデミーも、ロシア、ウクライナ、ベラルーシと結束して、事故の対策にあたっていました。
日本と違うのは、どこの市町村がどのくらいの濃度で汚染されたかなど、調べているところです。
この報告文では、その市町村の人口が書かれていませんが、そうしたバージョンもあります。

*37~185という区分も出てきますが、ここは移住対象にならなかった、健康管理区域のことです。
下の汚染地図でいえば黄色区域

「チェルノブイリの健康影響 原発事故の25年」 核戦争防止国際医師会議
(訳 常総生協 脱原発と暮らし見直し委員会 翻訳プロジェクト)

*ベラルーシは山がないので、放射能の濃度を3Dにしてみました。
ムラサキ(1,480以上~)赤(555~1,480)オレンジ(186~555)KBq/㎡

事故対策とは生態系汚染としてとらえ、まず、土壌汚染地図をつくり、実際どこの土壌がどのくらい汚染されて、そこに何人の人が住んでいるかの把握をする…という流れを科学者たちがつくった。

また、この報告は1992年時点のものです。チェルノブイリ事故から5年が経過してまとめられたものと考えてみてください。汚染地もあらたに見つかっていきます。
あとから、どんどん上書きされてきます。

汚染地域の把握、そこに住んでいる人、避難した人たちを「リスクグループ」として「登録」していく考え方は、とても合理的だと思います。
日本のように80年も、裁判をしなくていいからです。
登録した人たちは、それぞれのリスクに応じて、健康診断の項目が決まっています。

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