小児甲状腺がんに「しきい値」はありません(ベラルーシ医学アカデミー)2

チェルノブイリのデータで時々、おかしなことがおこります。 誰しも自国でおこった悲劇の全貌を語りたくない、国民に希望を持ってもらいたい、事故のことをわすれてもらいたい、と思いがちです。 しかし、そのことで被害を受けた人のことを無視したり忘れたりするようでは、それは「隠蔽」と呼ばれます。 しかし、チェルノブイリでおかしなことが起こる…というのは、現場に足を踏み入れたこともないような外国の科学者が、データを発表したりすることもあるということ。 さて、その一つに、チェルノブイリ事故のときの子どもたちの被ばく線量がすべてわかってるかのような話が出るときがあるのです。 ときには、ベラルーシの人は、「ヒロシマの医師が被ばく線量を計算しておいて行った」とも言います。 これは正しいことなのでしょうか? まず、ベラルーシの各地域で10年間で発症した小児甲状腺がんの発症した人数と地図をみてみましょう。

黄色(10人未満発症)→青(10~30人)→濃い青(30人以上)の順に発症が多かった地域がわかりますね。 よくみると全土で1人ずつ発症している地域があります。(ベラルーシ医学アカデミー講演時資料) E,Dimiechik先生から提供された、小児甲状腺がんの発症した地域の折れ線グラフをみてみましょう。 これをみると、ゴメリ州、ブレスト州、ミンスク州と3つの地域の発症率が突出していることがわかります。

いちばん汚染の高かったゴメリ州から発症のピークがはじまります。

さて、これを今度はベラルーシ全土の土壌を実測して分析した汚染地図とくらべてみましょう。 3つの地域を丸で囲っています。 この地図はグリーン(非汚染地域)→黄色(放射線管理区域)→オレンジ(避難準備)→紫(立ち入り禁止区域)というふうに汚染が濃くなっています。 なんということでしょう。400km離れたミンスクの汚染地帯でも、小児甲状腺がんが発症しています。

土壌汚染が高い地域で、確かに多くの子どもたちが発症しているのですが、汚染が少ない地域でも発症しています。 わずかにタイムラグがあるようですが、次第に、発症が国民全体になり、発症の少なかった地域でも発症が始まったという兆候もあります。チェルノブイリ事故のときは、全土でヨウ素の汚染があったのです。

しかし、ヨウ素剤を用意していたのに、「係」の人に指令は来ませんでした。

チェルノブイリから30年。 ベラルーシの医師たちは、小児甲状腺がんについてまだわかっていないことがたくさんあると言っています。

★「しきい値がない」というのはどんな低線量の被ばくでも発症することを否定出来ないということ。

★それから、おかしなこととしては、放射能と小児甲状腺がんの因果関係、誰が認めるか…。ということですね。 チェルノブイリのときはIAEAが、小児甲状腺がんの発症がはじまっときは、これは放射能のせいじゃないと、否定しました。 それで、認めるまでに10年もかかったんですが、原子力発電の安全を宣伝する機関が、被害を認めない、引き延ばすことも、ちょっとおかしな働きですね。利益相反する団体がごねているように見えてしまいます。

公平性がないと思われても仕方ないでしょう。 そう考えると、誰が子どもたちの小児甲状腺がんの因果関係を「認める」という役割をできると考えるべきでしょうか? 誰が…? 病気になってる子どもたちを置いて、誰かが認めるまで、この議論はずっと続くという時間の浪費。 おかしなことがあるものです。

このような晩発性の被害が主の場合、統計学で被害を表すことは、被害が起こりはじめるときには、データとしては役立ちません。

事故前にはなく、事故後に起こってきてることなのに。

笹川財団から出資を受けて、日本のヒロシマ・ナガサキの被ばく者の被害をよく知ってるチームが甲状腺の検査データを出し10年以上たって、ようやく認められました。

しかし、旧ソ連の汚染地帯では、IAEAが認める前に、独自に甲状腺がんが多発した地域は、閉鎖してていきました。

どこの組織でも、既得権益が、それを崩すような知見が出てきた時に、受け入れがたく、抗うことがあります。

亡くなったお子さんの甲状腺にはセシウムが蓄積されていたという研究もあります。

それほど、放射性由来の小児甲状腺がんには、解明しつくされていないことが多いのです。

 

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